初午(はつうま)と聞いて、具体的にどんな行事なのかパッと思い浮かびますか?
私はまったく浮かびませんでした。
でも、調べてみると稲作が中心だったころの人々にとって、とても大切な行事で、多くの願いが込められていて興味がわきましたよ。
年中行事を調べると、それがはじまった時代や背景もわかって、おもしろいですよね。
さて、初午ですが、午(うま)は十二支のひとつです。
十二支は年ごとに割り振られてるイメージですが、実は、カレンダーがなかった時代は日付にも十二支を当てはめて数えていました。
年中行事の中には、その干支と深く結びついているものがたくさんあるんですが、初午もそのひとつ。
今でも、カレンダーの日にちに干支が書かれているものがあるので、それを見れば初午がいつかすぐにわかりますよ。
では、伝統ある初午についてみていきましょう。
初午とはどんな行事なの?2021年はいつ?
初午の日とはその年の最初の午の日のことをさしていました。
なぜ過去形かというと、昔は立春(2月4日ごろ)が一年の始まりとされていたため、現在と感覚が異なるんですね。
現在では、2月の最初の午の日が初午の日となっています。
その初午の日に、稲荷伸(いなりのかみ・いなりしん)のお祭りを行うのですが、全国各地の稲荷神社で豊作、商売繁盛、開運、家内安全を祈願します。
これが『初午』です
初午は2月最初の午の日ということで、日にちが決まっているわけではなく、毎年変わります。
2021年の初午の日は、2021年2月3日
になります。
初午の由来は?
711年(和銅4年・奈良時代)の初午の日に、稲荷社の本社である京都の伏見稲荷大社に稲荷大神が鎮座されたという故事があります。
この日をしのんで、伏見稲荷大社をはじめ、全国の稲荷神社で盛大にお祭り(初午大祭)が行われるようになったといわれています。
また、稲荷は『イネ・ナリ』の意味で、農業の神様として全国に信仰を広めていました。
初午の日はちょうど稲作を始める時期でもあるため、農業の神様を祀る稲荷神社にて、五穀豊穣(豊作を願う)を祈願するようになって、やがて全国の稲荷神社へ広まったともいわれています。
初午ではどんな食べ物を食べるの?
初午ではどんな行事食があるのでしょうか?
初午といえば稲荷寿司
初午で最も有名な食べ物は 稲荷寿司 です。
稲荷つながりで納得ではあるのですが、なぜ稲荷寿司か。
そう、稲荷神社といえばキツネ。
稲荷神社では、鳥居の前に狛犬ではなく、キツネが鎮座しているのは有名ですよね。
キツネは稲荷神社では、神様の使いとされています。
またキツネは稲などの作物を荒らす野ネズミを襲うので、稲や田を守る神ともいわれてきました。
そのキツネの好物が油揚げ。
やがて、油揚げに稲荷神のおかげでもたらされた米を詰めるようになり、これが「稲荷寿司」、「お稲荷さん」と呼ばれるようになったんです。
初午では、油揚げや稲荷寿司などを献上するとともに、稲荷寿司をいただくのが風習となっています。
ちなみに、関東と関西とでは稲荷寿司の形が違うんですよ。
関東は俵型で、関西は三角型。
はっきりとした理由はわかっていませんが、関東の俵型は江戸時代に長い棒状の稲荷寿司がカットして売られており、この切った形から俵型へと変化したと言われています。
関西の三角型は”キツネの耳に似せた”、”稲荷山に似せた”等と言われています。
蚕の神様へのお供え初午団子
初午は蚕の神様を祀る日でもあります。
養蚕が盛んだったころは、蚕はオシラサマといってとても大切にされていました。
関東地用や中部地方では、初午の日に養蚕の祈願として、養蚕の神に白繭の形の団子を供えました。
郷土料理しもつかれ
栃木、茨城、埼玉などでは、初午のときに、ツモツカレ・スミツカリなどと呼ぶ郷土料理を作ります。
炒った大豆、鮭のあら、大根、にんじん、酒かすなどを煮込み、醤油で味付けしたものです。
大根は鬼おろしという独特なおろし器を使って、粗い大根おろしにするのが特徴です。
初午の日に、大鍋でたくさん作るようですが、冷たくなって味がしみたものがおいしいといわれています。
まとめ
初午は2月最初の午の日に行われる稲荷神社のお祭りです。
稲作が盛んだったころの人々は、豊作を祈願することが日常的だったことがよくわりますよね。
現在では、ちょうど節分の時期に近くてちょっと影が薄い気はしますが・・・。
稲荷寿司のあの味のしみた油揚げと酢飯の組み合わせは絶品だと思うのですが、油揚げにお米をつめることに意味があったことに驚きました。
稲荷寿司は運動会のお弁当のイメージが強かったのですが、子どもにその意味を伝えながら、2月に行事食として作りたいなと思います。
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