毎年夏になってぐったりするような厳しい暑さが続くと、エアコンがなかった時代はどうやって過ごしたいたのだろうと不思議に思います。
今のような酷暑や連続する熱帯夜なんて昔はなかったに違いないのだろうけど、それでも、日本の暑さは逃れようがなかっただろうなと思うわけです。
それに、『涼を呼ぶ』という言葉があるということは、人々に涼を求める気持ちがあって、さまざまな工夫がされてきのだろうなと。
その『涼を呼ぶ』とはどいういう意味なのかと同時に、涼を呼ぶものについてご紹介します。
『涼を呼ぶ』の意味とは?
『涼を呼ぶ』というのは、いろいろな工夫をして涼しさを呼び込むということです。
日本の夏はとにかく蒸し暑い。
冷房やエアコンがなかった時代、この暑い夏をどう過ごすかは人々の悩みであったにちがいありません。
そんな中、少しでも涼しさを感じようと工夫されてきた結果できたのが、『涼を呼ぶ』仕組みです。
今のエアコンのように実際の温度を下げるのではなく、人の五感を使って涼しく感じるように工夫されているのが涼を呼ぶ仕組み。
涼を呼ぶものの中には、実際に涼しくなるものから、なんとなく涼しい気がするというものまで、さまざま。
これらは電気やガスなどのエネルギーを使わない方法ということで、地球温暖化が問題になっている今、とても注目されているんです。
夏をエコに過ごすのにはぴったりじゃな。
日本の夏の風物詩と言えるものばかりで、知ってるものも多いと思いますが、具体的にどんなものがあるのか、五感を使った涼を呼ぶ仕組みを見てみましょう。
五感を使った涼を呼ぶ仕組み
目で見て感じる
・すだれ・よしず
外の熱い熱は遮って、風は遮らないのがよしずやすだれ。
カーテンよりも風通しがよく、部屋の中に風を取り込んでくれます。
京都の町家では、暑くなってくると、すだれやよしずを使って家を夏仕様にする習慣があるんです。
見た目にも涼やかで、風情がありますよね。
・ガラス
ガラスの水槽やガラスの風鈴など、ガラスって見た目にとても涼やかですよね。
とくにガラスの水槽は、水が揺れて涼を呼ぶにはもってこいです。
耳で聞いて感じる
・風鈴
夏の風物詩の代表ともいえる風鈴。
あの「ちりーん、ちりーん」という音は、耳に心地よく涼しく響きます。
でも、風鈴の音色を涼しいと感じるのは、日本人だけなんだそうですよ。
そういう意味で、風鈴をつるして涼を呼ぶのは日本人の特権ともいえます。
風鈴にはガラス製のものや鉄製のものなど、いろいろあるので、自分好みの心地よい音色を探してみるのもいいですよね。
ちなみに風鈴は、家の鬼門に吊り下げると厄祓いができると言われているんです。
食べて感じる
・かき氷
夏に食べて涼を呼ぶといったらかき氷ですよね。
昔はとても貴重だった氷ですが、今は家でも気軽にかき氷を作ることができます。
夏に子どもと楽しく作るにはもってこい。
一口 口に入れるだけで、ひやっとして暑さを忘れさせてくれますね。
・そうめん
夏の定番そうめんは、のど越しがよく、暑くて食欲がない日でも食べやすい食材。
水分も多く、熱中症対策の食事としてもおすすめです。
さまざまな具材でアレンジして、楽しく食べることができるのも、そうめんのいいとことですよね。
肌に触れて感じる
・い草
い草は湿度・温度を調整してくれる素材として、重宝されてきました。
高い吸収性があるので、暑い夏の日に寝転がってもさらっとした肌触りで、心地いいですよね。
夏の座布団、草履、枕などさまざまなもの用いられ、暑い夏の日を快適に過ごすために使われています。
・うちわ
うちわの起源は古く、風をおくるだけでなく、日の光を遮ったり、顔を隠したりする道具として古くから親しまれてきました。
さまざまな絵柄や、ときには会社の広告としても使われるうちわは、日本の文化ともいえます。
夏の屋外イベントなどでうちわが配られるのは、うちわを扇ぐことで、清らかで涼しい風をうんでくれるからでしょう。
・扇子
扇子は少し年配の方が使うものといイメージがありましたが、最近は様々な柄の扇子があり手軽に使えます。
うちわと違って、カバンの中にそっと忍ばせておくこともできて便利です。
扇子を持っているだけで、上品な印象を与えてくれますよね。
扇子は扇いで風をおくるだけでなく、香りを楽しむこともできるのも特徴のひとつ。
白檀や檜などを使った扇子で扇ぐと、その木の香りが漂い、さわやかに涼を呼ぶことができます。
・打ち水
早朝や夕方に家の周りに水をまくことで、気化熱を利用して体感温度を下げる効果が期待できます。
暑さをやわらげるだけでなく、ホコリを沈めることで、清らかで心地よい空間を作ってくれますね。
匂いで感じる
・蚊取線香
蚊取線香の除虫菊の香りは、日本の夏の香りとも言えます。
昔ながらの除虫菊の香り以外にも、最近はさまざまな香りを選べるようになりました。
まさに香りを楽しむアイテムとして親しまれています。
蚊取り線香は100年以上の歴史があり、職人の手で殺虫成分や香りが工夫され作り出されてきました。
ゆったりと漂う煙もそのひとつ。
蚊取線香の煙を眺めていると心が落ち着くのは、職人さんの手で作り出された技だからかもしれないですね。
まとめ
『涼を呼ぶ』意味と、その仕組みをご紹介しました。
改めてみると、昔から人々は湿度の高い暑い夏をいかに涼しく過ごすかを考え、工夫してきたのだなと感じました。
エアコンの効いた部屋にいると快適ですが、それだけでは味気ない気もします。
昔ながらの五感で感じる涼もうまく取り入れて、より快適に過ごせる工夫をしたいなと思います。
まずはかき氷で、涼を呼んでみようかな。
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